車関連企業と言われて、カーメーカー除くと、真っ先に思い浮かぶ会社「AUTOBACS」。

大阪にて自動車部品の個人商店(卸売)から始まった株式会社オートバックスセブン(沿革)。カー用品の小売やFCにて業容を拡大し、東証一部に上場する大企業です。近年では、車検を中心に整備・アフターサービス事業も拡大し、僕たち整備士にとっても身近な会社になってきました。

そんなオートバックスを、メカニックの視点で分析してみます!

株価(時価総額)とその推移

オートバックスは泣く子も黙る「一部上場企業」。上場企業たるもの「株価で語れ!」ということで、手始めに時価総額とその推移を見てみます。

時価総額「1,445億円」 @2019年末

2019年末の時価総額は約1,500億円!1,500億円前後の企業は、上場企業の中で上から600-700番台くらいです。同じ規模の有名な会社は「RIZAP」「スカパー」「ノジマ電気」「タカラトミー」などがあります。

「兆」超えの巨大企業には及びませんが、日本を代表する大企業と言えますね!

ソース:Yahooファイナンス

過去5年間の推移(2015 - 2019年)

過去5年の株価の推移を見てみると、上がったり下がったりを繰り返しながら1,300億円から1,800億円のレンジで安定して推移しています。よく言えば「安定期に入っている企業」、悪くいうと「成長期ではない会社」と(市場には認識されていると)言えそうです。

配当性向:80-90%

配当性向(利益から何%を株主に還元するか)は80-90%。日本企業の平均と言われる30%を大きく上回っています。利益を再投資に回さずに株主に還元する、「成長企業」ではなく「安定企業」であることが配当性向からも言えるかもしれませんね!

オートバックスセブン株価推移(2015.1-2019.12)

業績(売上と利益)をチェック

株価をチェックしたところで、今度は業績を見てみましょう!株価が大きく変動していないということは、業績も大きくは変わらないのでしょうか。

売上(過去5年2,000億円超で安定推移)

過去5年で見ると、大きく「伸ばす」ことも「減らす」こともなく、安定的に2,000億円超の売上を出しています。正確には「微増継続中」といったところです。一方、2012年から見ると減少傾向が見て取れます。

  • 2015年3月期:売上2,095億円
  • 2016年3月期:売上2,081億円
  • 2017年3月期:売上2,040億円
  • 2018年3月期:売上2,116億円
  • 2019年3月期:売上2,138億円

バフェットコード:オートバックスセブン売上推移(2012.1-2019.12)

利益(過去5年 50億円前後で安定推移)

こちらも過去5年、毎年微増していますが、大きな変化は見られません。純利益で40-60億円、営業利益で60-80億円で安定的に推移しています。ただし、2012年から見ると売上同様に、減少しています。

  • 2015年3月期:営業利益64億円、純利益46億円
  • 2016年3月期:営業利益67億円、純利益44億円
  • 2017年3月期:営業利益58億円、純利益30億円
  • 2018年3月期:営業利益73億円、純利益54億円
  • 2019年3月期:営業利益75億円、純利益55億円

バフェットコード:オートバックスセブン利益推移(2012.1-2019.12)

ソース:バフェットコード

3つの事業(国内事業、海外事業、ディーラー・ネット他事業)

オートバックスの事業は大きく3つに分かれます。

  1. 国内オートバックス事業
  2. 海外事業
  3. ディーラー・ネット他事業

国内事業が80%以上

「売上」「利益」「人員」と公開されている3つの観点でで「国内オートバックス事業」が80%以上を占めています。
従い、以下では国内オートバックス事業の中身を見てみようと思います。

オートバックス3つの事業(国内オードバックス事業、海外事業、ディーラー・ネット他事業)

ソース:有価証券報告書

597店舗を有する国内オートバックス事業

「オートバックス」と言われて殆どの方が想起するのはロードサイドにある店舗型のオートバックスですね!これが国内オートバックス事業です。2019年3月時点で全国に597店舗存在します!

オートバックスの店舗

約80%がフランチャイズ店舗

全597店舗のうち、直営店は20店舗しかなく、フランチャイズの店舗が80%近くを占めています。

オートバックスは、フランチャイズ店舗からの①ロイヤリティ(売上に対して課される手数料みたいなもの)や②フランチャイズ店舗への卸売にて大きく稼いでいるのですね!

ソース:オートバックスHP

国内オートバックス事業の大分解!

ロードサイドで見かけるオートバックス。いったいどんな事業やサービスを展開しているのか決算短信(2019/03期)決算説明資料(2019/03期)を元に紐解いていきましょう!

年間1,778億円を売り上げるオートバックスの事業内容

オートバックスは全597店舗のち、約80%がフランチャイズ店舗、20店舗が直営です事業内容は以下の通りとなり、それらにて「1,778億円」を売り上げています。

  1. フランチャイズ加盟店に対する①「タイヤ・ホイール」「カー用品」等の卸売②店舗設備のリース
  2. フランチャイズ加盟店の売上に対する一定比率でのロイヤリティ
  3. 一般消費者に対して『直接』、カー用品等の販売、取付サービス、車の整備、車検、車の買取・販売

これは「フランチャイズ運営事業者」としての事業内容です。消費者視点での実態がよく分かりませんね。

全597店舗の合計売上高 : 2,672億円

フランチャイズ各店舗を含めた全597店舗の「売上高」とその「内訳」が以下の通り公表されています。

全店舗の合計売上

国内597店舗売上高 : 2,672億円

店舗売上の内訳

  1. カー用品 + サービス : 2,146億円(売上対比 79%)
  2. 車買取・販売 : 277億円(売上対比 10%)
  3. 車検・整備 : 196億円(売上対比 9%)
  4. 中古品・燃料 : 52億円(売上対比 2%)

80%近くが、みなさんがイメージするオートバックスの事業「カー用品 + サービス」ですね。

ちなみに「サービス」には、「タイヤ」「カー用品(含:カーナビ、ドラレコ、急発進防止装置)」の取付工賃が入っています。逆に言うと、「車検・整備」の売上には、それらの工賃は含みません。

安い!?オートバックスの車検

オートバックスでは近年、車検に力を入れており、2019年3月期の実績は以下の通り公表されています。

  • 車検・整備売上:196億円
  • 車検実施台数:64万8千台
  • 車検を通せる指定工場:421店

これらの数字を算数してみると、色々なことが見えてきます。

1台当たりの車検売上:約30,000円

1台当たりの車検売上は、約30,000円以下になります。安いですね!
勿論、これとは別に売上には加算されない法定費用(「重量税」と「自賠責保険」)が加わります。

  • 1台当たりの車検売上 : 30,246円
    ※車検・整備売上/車検実施台数の為、車検単体ではもっと安くなるものと思われます。

交換部品売上が入ってない?

整備を知っている立場からすると、車検売上30,000円/台は、安過ぎますね。
車検時には消耗品などを中心に部品の交換を行う為、もっと値段が高くなるはずです。

例えば、国産車ディーラーの平均的な車検売上は約90,000円/台です。

開示されていない為わかりませんが、部品代は「カー用品 + サービス」部門に計上されているのかも知れません。

店舗当たりの車検・整備売上:約4,500万円

この数値にはカー用品の取り付け工賃は含まれていません。ですので、一般的な定義でいう整備売上はもっと有るはずですが、公表数字だけで見ると、店舗当たりの整備売上は約4,500万円です。

  • オートバックス1店舗当たりの車検整備売上 : 4,547万円/店舗

この数字は整備振興会連合会が公表している整備工場当たりの数字に近しい数字となっています。

整備工場当たりの年間整備売上(2018)

専業整備工場 : 3,441万円/年
兼業整備工場 : 4,270万円/年
ディーラー : 1億6,568万円

ソース:平成30年度自動車分解整備業実態調査結果概要

オートバックスで働く整備士 : 店舗あたり6名

オートバックスは、近年車検を始めとする整備事業に力を入れていることから、メカニックの採用も積極的に行なっています。

全部で3,700名の整備士が勤務

全国のオートバックスの店舗では、合計3,700名以上の自動車整備士が勤務しているそうです。
全597店舗ですから、1店舗あたり約6名のメカニックが勤務していることになりますね。

ソース:オートバックスHP

オートバックスで働く整備士の給料

オートバックスで働く整備士の正確な給与水準は公表されていません。私が把握する限り、オートバックスのメカニックは①正社員②アルバイトの2つに分かれます。私の感覚からしてアルバイトのメカニックというのは想像つかないんですけどね、、、(腕と資格を抜きにすれば誰でもメカニックと名乗れます)

Seibiiには、元オートバックスの整備士が複数名いらっしゃいます。皆一様に「手取りで月20万円程度」低い給料で大変だったと嘆いています。

※参考【整備士の給料】統計データと生の声

オートバックスの場合、殆どがフランチャイズですので、店舗毎に採用基準や給与体系が異なったり、アルバイトの整備士も多数いますので、その辺りも影響しているのでしょう。

オートバックス正社員の平均給与は737万円

有価証券報告書によると、オートバックス社員の平均給料は737万円です。これはオートバックス本部に勤める正社員の平均給料です。正社員と、各店舗に散る現場メカニックの間の給与格差は相当にありそうです。

整備士1人当たりの整備売上は平均並み

ところで、整備士1人当たりの整備売上を推定してみようと思います。

公表されている車検売上から整備士1名当たりの年間売り上げは「758万円(店舗当たり車検売上4,547万円/6名)」と計算できます。

この金額には「カー用品販売時の取付工賃」が入っていません。この部分の数字は公表されていませんが、整備士の作業範囲ですね。従い、この部分を加味すると、整備振興会連合会が公表している「整備士1人当たりの年間整備売上」と近しい売上になることが推定されます。

整備士1人当たりの年間整備売上(2018)

専業整備工場 : 965万円/年
兼業整備工場 : 1,070万円/年
ディーラー : 2,264万円/年

ソース:平成30年度自動車分解整備業実態調査結果概要

【まとめ】 オートバックスの整備事業は伸び代がある

①オートバックス1店舗当たりの整備売上、②整備士1人当たりの整備売上の2つの指標で、ディーラーと大きな差が有ることがわかりました。

オートバックスの企業規模、知名度、ブランド力からすると、オートバックスの整備事業はまだまだ伸ばせる余地が高いと言えそうです。

鍵は「質の高い整備士の確保」「ディーラー対比での競争優位の確立」「マーケティング」と言えるでしょう。

以上です。随時Updateしていきます。