アメリカで注目の電気自動車メーカーの1つ、Rivianを紹介します。

アメリカで電気自動車といえばテスラが有名ですが、このテスラのライバルの一つになるのではないかと噂されているのがRivianです。
なぜ噂かと言うと、Rivianは自動車メーカーとして立ち上げてから10年経ちますが、まだ1台もクルマを売ったことが無いからです。

しかし、米Amazonからすでに10万台の受注を受けているなど、これから日本でも注目されるであろうRivianをご紹介します。
Rivianは新しい水のメーカーではありませんよ!

会社

創業

Rivianの創業者はRJ・スカリンジという人です。彼はマサチューセッツ工科大で機械工学を学んだ後、2009年にメインストリームモータースというスタートアップを立ち上げます。その後名前をアベラ自動車へ変え、今のRivianへと変更しています。
現在本社があるのはミシガン州のプリマスです。しかし、他にカルフォルニア、イリノイ、イギリスにも拠点があります。
そして、現在は750名を超える従業員がRivianで働いています。

RJ・スカリンジ

スカリンジ氏は小さい頃に近所にあったガレージでポルシェ356Sのレストアを手伝っていたそうです。ポルシェのエンジンを自分で組み立てたとインタビューでも語り、他にも色々とポルシェのレストアを手伝って育ったそうです。そんな彼はクルマが大好きと語っていますし、ガソリンエンジンが大好きと言っています。しかし、同時に自然が好きとも言っていて、だからこそ、電気自動車メーカーを作ったと言えるでしょう。

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ポルシェ356
引用:ポルシェ・ジャパン

プロダクト

Rivianは2018年のLAモーターショーで2つの車両を発表しています。R1TR1Sです。
アメリカではピックアップトラック車の人気がありますが、EV車のピックアップトラックは今までにありませんでした。なので、Rivianの車両はここで一気に注目を集めることとなりました。

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プロトタイプ
引用:autoblog

カルフォルニアでは以前からプロトタイプのA1Tが目撃されています。
フォードのF150のボディーを上に乗せテスト走行をし、町中で充電も行っていたようです。
メインのパワートレイン開発にはフォード・フォーカスEVのチーフエンジニアを迎えて開発していたようで、Rivianとフォードには昔から繋がりがあったと思われます。

出資先

今までにクルマを発売していないRivianが注目を集めたのは、2019年初めに発表されたAmazonとフォードの出資がトピックに上がったときでした。
この時、Amazonは7億ドル(約800億円)、フォードは5億ドル(約600億円)の出資を発表しました。
この他にも日本からは住友商事などが出資をしており、これまでにRivianは22億ドル(約2400億円)を調達しています。

Amazonは今後Rivianの車両での配達を計画しており、2030年までに10万台のRivianのEV車を使用すると発表しています。2021年には早くもAmazon用のバンの製造が開始されるようで、イリノイ州にある元三菱自動車の工場でEV車が作られるそうです。

また、フォードはRivianのパワートレインとシャシを使用し、2022年にリンカーンSUVの製造をすると発表しています。
後述しますが、Rivianが開発した【スケートボード】というパワートレイン&シャシは、シャシの上にボディーを乗っけるタイプです。ですので、フォードはスケートボードの上に乗っける箱(ボディー)だけを制作すればいいのです。フォードからしてみれば、イチからパワートレインとシャシを開発しなくて済むうえに、上に乗せるボディーをつくれば多様な車種を作り出すことが可能になります。

フォードとしては、ネームバリューのあるリンカーンのSUVを安く制作し、ヒットすればF150のEVに着手するのではないでしょうか?もし、リンカーンのSUVがヒットしなくても、開発費は殆ど掛かっていないために損失は少ないと考えているのでしょう。
Rivianからしてもオリジナルブランドの車両の販売だけで黒字化するのは大変でしょうが、フォードのプラットフォームの製造を請け負うことで安定した収益を生み出せそうです。

R1TとR1S

Rivianから2020年に発売が予定されている2台の車輛を紹介します。
1つはトラックタイプのR1T。
もう1つはSUVタイプのR1S。
価格はおよそ700万円からとなっています。
因みに予約は始まっており、「1,000ドル(約11万円)」で予約を行うことは出来ます。しかし、予約ページでは選べる地域がカナダ、アメリカ、メキシコしか表示されない為、日本で乗るにはまだ先になりそうです。
また、テスラと同様に販売店などは無く、インターネット上から購入できるようです。アフターサービスの情報はありませんが、テスラと同様に専用の工場で整備を行うのでしょうか?

外観

R1T

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引用:Rivian

R1S

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R1S
引用:Rivian

外観で特徴的なのがヘッドライトですね。ごついボディーですが、このヘッドライトのおかげでなんだかかわいく感じられます。
また、全長とホイールベースはトラックのR1Tの方が約0.4m長くなっています。

内装

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引用:Rivian

内装はシンプルでいいですね!モニターは2つありますが、テスラとは違い、近未来的な感じはあまりなく、むしろウッドパネルを使用するなど自然を感じさせる内装になっていますね。
写真での見た目は本物のウッドパネルっぽいのですが、少なくても日本で発売するときには安全基準からウッド調パネルになると思います。事故を起こしたときに木製のパネルは大変危険ですからね。

また、アクセルペダルはワンペダルとなるようです。これは日産でいうeペダルと同様のものです。
アクセルを離した時にも回生ブレーキを使用し充電するシステムです。使用するブレーキシステムはボッシュのiBoosterブレーキシステムを使用との事です。

充電時

Rivian3-1
引用:Rivian

充電はフロントフェンダーからするみたいです。そして、特徴的なヘッドライトの横に走っているバーライトですが、充電が完了すると真ん中が緑に光り、充電完了を知らせてくれるそうです。

スペック

バッテリー

RivianのR1TとR1Sに搭載されるバッテリー容量は「105kWh」「135kWh」「180kWh」の3種類があります。
R1Tの航続距離はそれぞれ「370km」「480km」「640km」。
R1Sは「390km」「500km」「660km」となっています。
同じバッテリーでも航続距離が違うのは車重によるところだと思います。

搭載されるバッテリーは21700と呼ばれるもので、セルの大きさが直径21mm×長さ70mmのものだと推測されています。これはテスラも使用しているもので、従来のバッテリーよりもエネルギー密度が高いとされています。RivianはLGケミカルから入手したとの噂がありますが、どこからこのバッテリーを入手したのかは謎となっています。

因みに、日産リーフのバッテリー容量は「40kWh」、リーフ+で「62kWh」となっており、航続距離は「220km」と「330km」となっています。
バッテリー容量の1kWhあたりの走行距離は「5.5km」と「5.3km」です。
Rivianの車輛はおよそ「3.5km」となっており、テスラはおよそすべてのモデルで「6.0km」程となっています。
テスラの方がRivianの倍近く距離が長いですが、単純にテスラが良いとは判断できません。後述しますが、テスラの車輛とRivianの車両は設計思想が違います。根本的にクルマの構造が違いますので、この数字だけでどちらが良いかクルマかは判断できません。クラウンとランドクルーザーを比べるようなものです。

モーター

モーター出力は1つで200馬力ほどとアナウンスされています。そして、R1TもR1Sもクアッドモーターシステムを採用しており、タイヤ1輪に1つのモーターがあります。単純な計算は出来ないですが、メーカーも最大754馬力と発表しており、100キロまでの加速でおよそ3秒ほどとなっています。
ポルシェ・タイカンの加速が2.8秒なので、けっこういい勝負となります。すごいですね~!

そして、クアッドモーターシステムですが、4輪をそれぞれ独自に制御するため、悪路の走破性も良いと思われます。
そして、4輪独自制御をするとこんなことが出来ちゃいます。
タンクターン動画
左右でタイヤの回転方向を変えているので、こういうことが出来るんだと思います。実際にはこんなターンは使用しないでしょうが、4輪をそれぞれ制御しないと出来ない芸当ですので、この動画はクアッドモーター制御が分かりやすく表現されていると思います。

冷却システム

EV車で重要な制御に冷却システムがあると思います。なぜなら、バッテリーというのはその能力を十分に発揮させるために適正な温度があるからです。しかし、車は寒い場所や暑い場所での使用も想定されるため、バッテリーを適正な温度に保つのは非常に重要な事なのです。

RivianのR1TとR1Sのバッテリーはセルが上下に分かれています。そして、バッテリーが2層になっていて、その間に7mmのアルミプレートがあります。そのアルミプレートの中を冷却水が巡廻しています。これがバッテリーの冷却システムですが、車両全体でみると、もう一つモーターへ行く冷却系統があるようです。寒い地方や冬に車両が動き出した直後はバッテリーの温度が低いために、逆に暖かい温水でバッテリーを温める必要があります。そこで、モーターの熱で温められた冷却水をバッテリーに回し温めるという方法を取っているみたいです。
そして、これはテスラの冷却システムと同じ手法となります。

ただし、ソースとなる記事を読むと、冷却システムがテスラとほぼ一緒のように思います。「Chiller」はテスラで使用していますし、エアコンを使用し冷却水を冷やすのも同じなので、どうなのでしょうか?
まったく同じという事は無いでしょうが、参考にしてるのですかね?
テスラの冷却システムはコチラ
ソースはコチラ(英語)

ボディー

恐らく、Rivianのメインプロダクトはこのボディーのプラットフォームではないでしょうか?
公式には「スケートボード」と呼ばれるシャシはフレームにEVドライブトレーンが付いています。

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引用:Rivian

Rivianの車輛は、同じEV車でもテスラの車輛とは設計思想が違います。
テスラと一般の乗用車はモノコックボディーと呼ばれるボディー構造をしています。
このモノコックボディーは、例えばティッシュの箱と同じで、ボディー構造の中に骨格となる柱や梁がありません。いわば、面と面が支えあって一つの構造を形成しています。
その為、ティッシュ箱はどこかの面を切り取ると、箱の剛性が弱くなってしまいます。これはクルマでも同じで、それぞれのパネルが支えあってボディーの剛性を作り出しています。
乗用車ではボディーの軽さと剛性、走行性能が求められています。
モノコック構造は、余計なフレームを使用しない分、車体を軽くすることができ、なおかつ、近年ではボディー剛性を確保することが可能となっています。その為、乗用車ではこのモノコック構造を多く採用しています。

Proton-MPV-Chassis
引用:ウィキペディア

それとは反対に、RivianのR1TとR1Sはしっかりとしたメインフレームの上にボディーを載せます。事故でボディーの角が凹んでも、メインフレームに損傷が無ければ、車の剛性には影響がありません。
これはトラックやオフロードに適した構造で、重い荷物を載せることも出来ますし、悪路を走ってもボディーが歪むこともありません。
また、上に載せるボディーを変えるだけで車種がいろいろ作れるのもメリットです。そこで、フォードはこの「スケートボード」シャシにリンカーンのSUVボディーを載せて発売しようとしている訳です。Amazonも同様に、バンのボディーを載せて、専用の車両を作ろうとしているのです。

このシャシフレーム構造は別に新しいものではありません。むしろ、シャシフレーム構造からモノコック構造へと進化しているので、古い技術といってもいいでしょう。しかし、トヨタのランドクルーザーをはじめ、今でも使われているシャシフレーム構造ですが、EV専用として開発し、それをメーカーに販売する手法がRivianの見事なところだと思います。

まとめ

Rivianのクルマは如何でしたでしょうか。まだ2台とも発売されていませんが、EV車の中でも注目の車輛ではないでしょうか?
EV車は既存の自動車メーカーやテスラばかりが注目されていますが、Rivianのような新しい波が来ているように感じます。特にAmazonとフォードと組んでいるRivianは今後一気に大躍進を遂げる可能性があるメーカーの一つです。
今後とも目が離せないでしょう!