中古自動車の購入を検討する際、「修復歴:無し」といった表示を見て、「品質に問題は無いのだな、事故車では無いのだな」と思ったことは有りませんか?それは、勘違いです。「修復歴」の字面から自然に想起される意味と、実際の意味/定義は全く異なっており、中古車購入時のトラブルの原因、あるいは、一般の方が落ちやすい代表的な落し穴の1つと言えます。この記事では、修復歴の正しい意味について、解説します。

修復歴「有」の車と事故歴「有」の車はイコールではない

そもそも中古車の購入を検討する際に、多くの方が避けたいのは

1. 事故車
2. 故障車
3. 整備不良(不足)車
では無いでしょうか?

実は、1、2ともに、修復歴:無しだからと言って、事故車では無い、或は、故障車ではない、とは言えないのです。

これは、修復歴の定義に因ります。(*3.整備不良(不足)車については、別の記事で記載したいと思います。)

そもそも、修復歴の表示は、業界団体である一般社団法人自動車公正取引協議会が定める自動車公正競争規約集に、規定されているルールで、自動車販売業者にとって実質的に義務と呼べるものです。

規約そのものは、消費者が安心して車を購入するための業界自主ルールを定めたものですが、修復歴に関しては、その定義と、一般の方がイメージする内容とは大きくズレが生じています。

修復歴とは?

修復歴とは、車の基本骨格(フレーム)等を交換、或は、修復した車のことをさします。
つまり、過去に事故を起こした車であっても、車の基本骨格(フレーム)等を交換、修復していなければ、修復歴:無しとなるのです。

怖いですね。

正確な定義は、自動車公正競争規約集に以下記載の通りです。

「自動車公正競争規約」に定められた修復歴の定義

修復歴 = 車体の骨格に当たる部位の修正及び交換歴の有無

「中古車に関する施行規則」に定められた修復歴の定義

「修復歴(車体の骨格に当たる部位の修正及び交換歴)」とは、販売する中古自動車について、次に掲げる車体の骨格に当たる部位を修正及び交換することにより復元されたものをいう。
① フレーム(サイドメンバー)
② クロスメンバー
③ フロントインサイドパネル
④ ピラー(フロント、センター及びリア)
⑤ ダッシュパネル
⑥ ルーフパネル
⑦ フロアパネル
⑧ トランクフロアパネル

文字て見ても分からない人がほとんどと思います。画像で該当箇所を示すと以下の通りです。
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出所:日本自動車鑑定協会

「起こし」という業態

鈑金(板金)の世界では、大きく潰れてしまった事故車を、元通りに直す起こし(業界用語)と呼ばれる業態がります。

事故車を、事故車のオークション等から仕入れ、車を(少なくとも見た目は)元通りにして、中古車市場に販売していくビジネスです。

そもそも、事故車が流通しているの?と思われる方もいるかもしれません。はい、適法、正当に、流通しています。

事故車を語る上で外せないのが、保険会社です。保険会社は、保険金と引き換えに、事故を起こした全損車を引き取理、事故車をオークションに出品するのが通常です。そこで高く販売し、資金回収を行うのです。事故車オークションで事故車を仕入れた業者は、起こしを行って、日本で中古車として再流通させたり、或は、海外の起こし業者に輸出販売などしています。

起こしそのものは違法ではなく、相場より安く購入できるといったメリットも有ります。

ただ、素人に当該自動車の品質を正しく判断することは非常に困難で有り、十分に気をつけないと、トラブルの温床になりかねません。

まとめ

事故車であっても、基本骨格/フレームに限って軽度な損傷で済んだ車は「修復歴:無し」になりますし、エンジンなど内燃機関や、パワーウィドウ(窓)の開閉に異常があったとしても、「修復歴:無し」になります。

また、「修復歴:無し」には、死傷者が出ている事故車、人身事故を起こした車、或は自殺に関連した車が含まれる可能性もあるわけです。

*水没車に関しては、告知義務が有ります

あくまで一例ですが、以下のようなやり取りが発生した際は、担当販売員が、ごまかしているか、何かを隠そうとしている可能性が疑われます。

お客様「この車は事故車では無いですよね?」
販売員「・・・表示されている通り、修復歴は有りません。(*事故とは言わない。また定義に関する説明もない。)」

中古自動車販売業車は、修復歴の告知、表示義務はある一方で、事故車や故障車の消費者への告知に関しては、各々の判断に委ねられているということを消費者が理解しておくことが、後々のトラブルを防ぐためにも大切です。

また、「修復歴:有り」の車を、価格を優先して、購入する場合もあるかと思います。
その場合でも、事故の度合い実施された修理の程度は素人には判断がつきません。

実際に、普通に運転しているのに、少しづつ曲がってしまう、といった事例も起きています。安いからといって購入した結果、大きな整備修理が必要になってしまったら本末転倒です。

こういったトラブル車を避ける方法は、消費者の目利きと知識と言わざるを得ないのが現状ですが、「相場より安い」車は1つの目安かもしれません。

また、中古車販売会社は、自動車整備や修理のプロとは異なることも理解するべきです。つまり、悪意なく、質の悪い車を、不適切な価格設定で販売しているリスクがあるということです。


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